20年桜 薄墨桜-4
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ディーノがいなくなっても彼の部下らしい
黒いスーツの男は数人残っていた。
朝食を運んできた中年の男性に獄寺は声をかけた。
「あんたこの間も見かけたけど、名前は?ディーノの何?」
「ロマーリオ」
どうやらそれがこの男の名前らしい。
朝食の乗ったトレイをテーブルに置くと獄寺の手錠を外す。
「いいのか?」
獄寺が心配そうにロマーリオと名乗った男の顔を見た。
ロマーリオは獄寺の背中にきれいに洗濯されて畳まれていたシャツを取ってかけてやる。
「すいやせんね。あのお方は本当は素直でいい方なんですけど、あなたを失うのがよっぽど怖いんだと思いやす」
コーヒーをポットからカップに注いでいる。
獄寺はそのカップにミルクを入れる。
「古くから奴を知っているのか?」
「はい、子供の時分から知ってやす。あのお方はキャバッローネ財閥の一人息子なんでさぁ。俺はその世話役でして。両親よりも身近な存在といっときましょう」
「キャバッローネ?!」
獄寺が驚くのも無理はなかった。
キャバッローネといえば世界でも有数の大財閥である。
そんなところの御曹司がどうしてホストなんかしているのかと
ロマーリオを見た。
するとロマーリオはそれを察したように
「ずっと孤独な生活をおくってくられて俺たち部下しかあのお方の本当に心許せる相手がいなかったんでさぁ。近寄ってくるもの誰もがあの方のバックのキャバッローネの財力に惹かれて集まってくる。そうすると結局はそれだけのつきあい方しかなくて、あなたのように本気でぶつかってくる相手もいないんでさぁ」
「孤独?」
ロマーリオは頷いた。
獄寺の緑色の瞳を見つめる。
「あんたのその瞳は子供のころ彼が大好きだった少女と同じだ。あれもすごくディーノには可愛そうなことだった」
ロマーリオがそう言って窓際で海を眺める。
「あ、そうだここもキャバッローネの所有する企業の経営するホテルだから、難なく部屋が使えるわけだ」
ロマーリオはそう言うと
「少ししゃべりすぎました。これ以上は怒られちまうから」
と話の途中で出て行ってしまった。
獄寺は別に興味もなかったが、ディーノがそんなに大物の息子だとは想像もしていなかった。
だったらなおさら自分はディーノとは一緒にいてはいけない気がする。
いずれきれいな女性と結婚して家を継ぐであろう。
イタリアでは男同士でも珍しくはないが、それも一般の話で家督とか家系が関わるとそうもいかない。
ディーノはロマーリオが言いかけた少女に獄寺が似ていたから
可愛がってくれたに過ぎないのだと改めて現実を知らされた気分だった。
「これ食ったら出て行けるのか?これは俺なんか早く出て行けとあいつの部下の警告なのか?」
獄寺は右手にフォークを持ったままテーブルに頬杖をついた。
<つづく>
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読了お疲れ様でした。
web拍手を送っていただいてありがとうございます。
すごく嬉しいです。
なんかちょっと話が入り組んできました。
これ単純なホストの話じゃなかったのかよーとお思いの方
実はちょっとだけ深さがあります。
けどすぐに解けるのでご安心ください。





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