69執事「終わりなき闇」10
『夕暮れ時のひととき』
隼人とツナが骸に導かれて屋敷の客間に戻ってくると、既に雲雀がソファーに座っていた。
「続きはこちらでどうぞ」
意味深な微笑みを浮かべながら、骸は雲雀が座っている一人がけのソファーと対の長いソファーをすすめた。
隼人はその前を通り過ぎながら睨むように骸を見て、ツナを座らせてから隣に自分も座った。
「夕食にはまだ少しお時間がありますので、こちらでごゆっくりお話しでもどうぞ」
骸はソファの後ろの扉の手前で立っていた。
一方雲雀はソファーに座ってあくびをしている。
隼人はその姿をジロリと睨んだが、隣でツナが隼人の肩をなだめるように叩いたので、何も言わずにツナとの会話をはじめた。
「ねぇ、僕は下がらせてもらってもいいかな?君たちの会話じゃあまりおもしろそうじゃないしね」
「うん、いいけど・・・」
雲雀の言葉にツナが少し困ったように骸を見た。
「それでは私がお部屋にご案内いたしましょう」
それを素早く悟った骸が
「ふうん、僕はあんたじゃなくて君が良いな」
と雲雀の隣に来ると、スッと立ち上がって隼人の手を取る。
その場の雰囲気が一瞬にして変わった。
誰もの顔から笑顔が消えている。
ツナは慌てて何かを言おうと口を開けたが言葉が見つからない様子だった。
隼人は掴まれたまま立ち上がって、今にも雲雀に飛びかかりそうな顔をしている。
骸は肩すかしをくらって瞬時に隼人のもう片方の手首を掴んでいた。
「みんなどうしたの?僕疲れてるんだけど」
その空気を読み取れているのかどうかわからないようなことを、平気で口ずさむ雲雀に隼人が口を開いた。
「お前は使用人じゃねぇのか?」
「ああ、一応ね。けど僕は別に望んだ訳じゃないし、嫌だったら別の誰かにすればいいんだよ」
と雲雀はツナを見た。
「ごめん獄寺君。雲雀さんの言うとおりだからいいんだ。でも」
ツナは申し訳なさそうに隼人に言った後雲雀を見た。
「俺には何を言っても、やってもかまわないけど、僕の友達の獄寺君やその家の人達に迷惑をかけるなら俺は許さないからね」
意外にもぴしゃりと言い放ったツナを全員が見つめていた。
雲雀はフッと笑って隼人から手を放した。
その隙に骸は隼人を引き寄せると隼人は露骨に嫌な顔をして骸を押しやった。
「い、いいんです10代目、俺は別に嫌な思いなんてしませんから・・・10代目が見込んだ男ですから彼は悪い奴じゃなさそうですし」
隼人がツナに取り繕うとツナは
「ごめん、本当にごめんね」
と隼人に何度も頭を下げた。
「悪かったなら謝るよ。けど僕は部屋に行きたいんだけど」
少し面倒な様子を見せながらも詫びを告げた雲雀はまんざら悪い奴ではなさそうだ。
隼人はそのまま雲雀の前に立って
「じゃあ、特別に俺が案内してやる。特別だからな」
少し頬を赤くして部屋を歩く姿に誰もがキュンとなった瞬間だった。
<つづく>![]()
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