69執事「終わりなき闇」11
『不思議な男』
部屋まで続く長い廊下を隼人の半歩ほど遅れて雲雀が歩いて行く。
雲雀はどうやら人に気を使ったり、お世辞を言うつもりはないらしい。
隼人と歩く場合、相手は隼人の機嫌をとるように色々とくだらない会話をすることが多いが、彼は機嫌をとるどころかマイペースに廊下の窓に留まる鳥に気をとられたりして
そっぽを向いている。
隼人が雲雀を振り返ると彼は手を高く上げて鳥を呼んでいた。
不思議と鳥が雲雀の側に寄ってくる。
彼は人間にはあまり見せないような無邪気な笑みを浮かべていた。
いつの間にか隼人も立ち止まってその光景を見つめていた。
「何?」
雲雀は隼人の視線に気づいて声をかけたので、隼人は我に返った。
「行くぞ」
無愛想に言いながら歩き出すと雲雀もしばらくして歩き出した。
「いいとこだね」
「何が」
「ここが」
雲雀は機嫌を取るどころか素直に感情を言葉に表現するタイプらしい。
多分雲雀の言葉には嘘はないのだろうと隼人は思った。
(10代目はだから彼を側においているんだ)
少しだけツナの考えていることがわかったような気がした。
そんなことを考えているうちにいつの間にか来客用の寝室の前に着いていた。
「ここだ、夕食は6時だからそれまでゆっくりすればいい」
隼人がそう言って立ち去ろうとすると雲雀はまたしても隼人の手首を掴んでいた。
「僕はここから食堂までの道順がわからないよ。こんなに広い屋敷じゃ困るね」
「だからって俺に10代目を放り出してお前の相手をしろって言うのか?」
「いや、相手しなくても良いからここにいてよ」
(わがままな奴だ)
隼人はそう思いながらも心のどこかでは別にここにいてもかまわないと思っていた。
多分少しだけこの雲雀に興味を持ったようだ。
<つづく>![]()
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