『デザートは甘い誘惑?』
並べられた見事なおもてなしの料理にツナは喜んだ。
隼人もそんなツナに色々と話しかけていた。
そのおかげで夕食が終わる頃になると
隼人もツナも夕食前の事など気にしなくなっていた。
最後のデザートが運ばれてきて骸がポットからそれぞれのカップにお茶を注いだ。
雲雀は少しだけ離れたイスに腰掛けてずっとお茶を飲んでいる。
骸もカップにお茶を注ぎ終えると隼人から許しを得てイスに座った。
4人がテーブルに着くとどことなくぎこちない空気が流れる。
「10代目、このザッハトルテはオレのお薦め度ナンバー1のデザートです。もともと俺はいちごの入ったデザートが好きなんすけど、このチョコの溶け具合とか味の上品さにはやられました。」
隼人がフォークでザッハトルテを一口大にして刺した。
ツナもそう言われて同じようにそれを刺そうとするがチョコがずれてケーキの形が崩れた。
「あれ?オレ不器用だから・・」
少しだけ頬を赤らめて一生懸命にザッハトルテを取ろうとする姿を見かねて骸がスーとスプーンを差し出した。
「沢田様こちらの方が取りやすいかもしれませんよ。それは私がいただきます」
同時にツナが崩したザッハトルテをツナの手を掴んで口に運んだ。
ガタンと音が鳴り雲雀が立ち上がると全員が雲雀に注目した。
「あ、や・・ごめん、オレのせいでみんなに迷惑かけちゃったみたい。雲雀さん座ってて良いよ」
ツナは慌ててその場の空気を元に戻そうと無理に笑った。
「そうっすよね」
隼人もそんなツナに気遣って笑っていたが、瞳の奥では骸を睨んでいた。
(余計なことしやがって、お前はどこまで波風を立てたいんだ)
「いいえ、僕は素直に新しいデザートをお持ちしたいと思っただけですよ。それともこんなことに嫉妬されたのですか?」
まるで隼人の心の読んでいたかのように骸は立ち上がると隼人の頬に触れた。
「うるさい、早くデザートの換えを持ってこい」
「はい」
顔を隼人に近づけてから呟いた。
それを見ていたツナは頬を染め、雲雀はもう一度イスに座ってそっぽを向いた。
とことん気が合わない2人である。
隼人はその様子を眺めて軽くため息をついた。
会話も一段落するとお茶を終わらせて
ツナと雲雀が立ち上がった。
隼人は一足先に立ち上がって部屋の入口付近に立って
おやすみの挨拶をする準備をしていた。骸もその隣に立っている。
「ありがとう獄寺君、すごく楽しかったよ。明日はオレと雲雀さんは仕事で朝から出かけるから別に見送らなくても良いからね。」
ツナは隼人の前で立ち止まって軽く手を握るとそう言っておやすみの挨拶をした。
隼人はその手を両手で掴んでツナの顔を見つめながら
「とんでもありません。10代目がお出かけになられるのですからオレもちゃんと見送ります。何だったらお供します」
「それは遠慮するよ」
ツナが答える前に雲雀が隼人の言葉を遮った。
隼人の手をツナから引きはがす。
隼人は一瞬不愉快な顔を雲雀に向けたが、すぐに笑顔を作ってツナに挨拶をする。
「お休みなさいませボンゴレ。何かございましたら真夜中でもおっしゃってください。僕はいつでも飛んでいきます」
骸がツナの前に跪きナイトのようにその手に口づけた。
ツナが引きつった笑顔を隼人に向けると、隼人は骸の顔を横目で睨んだ。
雲雀は先に立って部屋を出て行きながら
「おいていくよ、沢田綱吉」
と歩き出す。その後ろをスタスタとツナが付いていく。
(フルネームで呼び捨てかよ)
隼人は雲雀の後ろ姿を見送った。
「やれやれ、困った方ですね」
骸が苦笑した。
「一番困った奴はお前だ」
無愛想な隼人の声に骸はその体を後ろからフワッと抱きしめた。
「嫉妬してくださったのはすごく嬉しいですよ。けど坊ちゃん」
「人を子供扱いするな。何度言えばわかる、坊ちゃんじゃない」
「ああ、これは失礼隼人様」
その口元が隼人の耳元に近づくと隼人は背中からゾクッとした。
「あなたは隙だらけです。ボンゴレを見ていておわかりになりませんか?彼もあなたと同類です。いつでも僕は彼に入り込めますよ」
隼人の耳元で囁きかけると隼人はその目を見た。
「そんなことをしてみろ、あいつが黙っちゃいねえぞ」
「雲雀のことですか?僕だってあなたにちょっかいを出されたら、あの男を生きてここからは出しませんよ」
その顔をじっと見つめていると骸は隼人から腕を放した。
「さあ、片付けをしないといけませんね。隼人様はおとなしくお部屋にお戻りください。」
意味深にそう言いながら骸はキッチンへと向かって歩き出した。
隼人はひとりダイニングを後にした。
<つづく>

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今日は少し長めにアップしました。
原稿の関係で更新が不定期になることをお許しください。
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